※こちらは旧伊勢丹店ブログ投稿分を再掲載したものです。
こんにちは。
コラム【華麗なるハンターケースウォッチ】第1回より続きます。
〔半分のハンター?〕
ハンターの名は付いても、狩猟時のみに使われたわけではなく、
その実用性の高さから日常的にも愛好されるようになり、

中には全面にぜいたくな装飾を施したものも作られていて、
もはや美術品と言った方がふさわしいレベルのものもありました。


日常的に使われるようになったことにより、
狩猟時の使用ではさほど問題にならなかった
「蓋を開けないと時間がわからない」という点を、
不便に感じる人々も一部にはいたようで、
「蓋を開けなくても時間を確認できれば・・・」
というある意味ちょっとわがままな意見も少なくはなかった模様です。
「蓋を開けるのがどれだけの手間?それなら蓋無しの時計を使えばいい!」
とついつい思ってしまいますが、しかし人類の進歩のきっかけは、
そのちょっとした我儘を、どうにかしてかなえられないか?
という対応からであったりしたのもまた事実ではあります。
そしてこの要求にもまた一つの答えがでています。


それが「ハーフハンターケース」と呼ばれるものです。
これは蓋の中央部分に、直径の1/3位の小窓を開け、
閉めた状態のままでも、針の付け根部分が見えるようにすることで、
時間を確認できるようにした文字通り「半分蓋つき」というものでした。
短針の形状が独特なのは、蓋を閉めたままでも見分けが付くためのものです。

これには、かのナポレオンが多忙な中で時間を確認しにくいことに業を煮やし、
蓋の一部をナイフで切り取ったことが始まりという逸話も残っています。
別名「ナポレオンケース」等と呼ばれるのはこれに由来しています。
もっともそれ以前に既にこの形状のケースは存在していたとされるので、
実際にはナポレオンが起源とは言えないようですが、
やはり歴史的な人物が関わったエピソードはインパクトが強く、
それが通称にも影響していることは興味深いですね。

時代の流れの中ハンターケースはしっかり市民権を得て、
より多くの人々に使われるようになります。
最近では3ピースのスーツを見かけることが少なくなったように思いますが、
懐中時計の時代には男性にとってベストは必須のアイテムでした。
そして中央のボタンにチェーンか紐をかけ、ベストのポケットから
おもむろに懐中時計を取り出して、優雅に蓋を開けて時間を見る仕草が
ダンディさの象徴でもあったと言われています。

女性の場合はポケットの無い洋服が多くバッグに入れておくか、
もしくはペンダントとして首から下げるようなものも作られました。
ここに至っては手にしても、もはや生活の道具であり、
名前の由来である「ハンター」という言葉とは結び付かない品物に移行したと言えます。
※第3回に続きます。








