※こちらは旧伊勢丹店ブログ投稿分を再掲載したものです。
こんにちは。
今日から新しいシリーズがスタートします。
コラム【華麗なるハンターケースウォッチ】第1回です。
〔ハンターケースって何?〕
アンティークウォッチの時代には、本当にいろいろな
デザインの時計が作られており、現代ではほとんど見る
機会が無くなってしまったような形のものもあります。
その象徴的なアイテムがハンターケースと呼ばれるものです。
今回のコラムではこのハンターケースについて
綴っていきたいと思います。

英語のスペルでは「hunter case」となりますが、
直訳すると「猟師・狩人のケース」という意味です。
アンティークウォッチにおいては蓋付のものをこう呼びます。
この名前の由来は懐中時計の時代まで遡ります。
それ以前の特定の場所に設置するクロックの時代から
ウォッチの時代になると時計は個人が携帯できる道具となりました。

初期のものは堤時計とも言われ、直径・厚みともボリュームがあり、
腰から専用のチェーンを付けて提げて使われていました。
時代とともに改良は続けられ、より小型化された時計は
ポケットウォッチ=懐中時計となり、
その言葉通りポケットに収納可能なサイズになります。

以前のコラムの中で、時計を身に着けるようになってから
針に直接触れてしまうと実用上支障が出てしまうため、
ダイヤルをガラスで覆うことが必須になった旨を書きましたが、
基本はそのままガラスを通して時間を確認できるスタイルで
このような形状を「オープンフェイス」と呼んでいました。
その名の通りダイヤルが常に目に入る形ということです。
置時計の時代と比べると、移動先でも時間の確認ができ
利便性は格段にアップしました。
ただ新しい道具が現れる時には、それまでは存在しなかった
新しい問題が発生するのも世の常です。

それは特定のシチュエーションで頻繁に起こりました。
当時の貴族たちの嗜みとして狩猟があり、
有名な「キツネ狩り」に象徴されるように、
社交の場としても、重要なイベントとされていました。
社交の場とは言っても、猟犬や従者を多数付き従えて、
馬に乗って森や野原を駆け巡り、獲物を追い込み
狩るものですから、結構ハードな動きを伴います。

実際には優雅な社交の面だけではなく、軍事的な局面に対しての
「訓練」的な側面も持ったスポーツの一種でもありました。
そのため儀式的な安全な動きだけをしていればいいわけではなく、
場合によってはかなり危険なケースもあり得ました。
落馬などによってけがをすることもあり、
真剣に向き合う必要のあるイベントであったわけです。

このハードな動きの中でオープンフェイスの時計のガラスが割れてしまう
アクシデントもしばしば発生し、その対応策として考えられたのが
ダイヤル側に蓋を取り付けてガラス面をカバーしてしまう事でした。
これがハンターケースの名前の由来です。
※第2回に続きます。








